
今回はブレないよう安定した動画を撮る為の構え方をご紹介します。動画を安定した画面で撮るには三脚で撮るのが理想ですが 家族旅行などではなかなか持っていけないのが現実ですよね。とは言っても動画のブレは見にくいし不快感すら覚えます。大型TVで見る事を考えるとブレないのが大切です。
そこでブレない動画撮影のカメラの構え方、コツを学びましょう。
一眼レフの持ち方、撮り方はご存知だと思いますが、動画となると少し違うかも知れません。動画撮影のときは、動く被写体を長時間撮影を続けるので、どうしてもブレやすくなります。カメラには、手ブレ防止機能が付いていますが、これは手から伝わる微妙な動きを止めるもので、大きなブレは止まりません。 では、基本の構え方を見てみましょう。
立ってカメラを構えるには、両肩と同じ幅で両足を開きます。カメラはファインダーを目につけ両腕は脇をしめて持ちます。これは従来の一眼カメラで写真を撮るときと同じです。動画のときもファインダー付きの一眼ではブレにくいのでおすすめです。 (写真左)
また、液晶をのぞくように腕を伸ばして撮る人を多く見かけます(写真右) 。この状態だとズームのワイド側での撮影は安定して撮れますが、望遠側での使用ではブレる可能性が高い事を覚えておいてください。
今回は、撮影ポジションとして高所や低い位置からの撮影シーンが多く考えられる山や渓谷での撮影を例に挙げてみました。足の滑りやすい斜面などで撮影するには、アングルを選ぶ際、不安定にならないように工夫しながら構え方をつくりだす必要が出て来ます。
ここでの例を参考に各自工夫をしてください。また街や観光地でも役立ちます。



そこでレンズを上に向けるなど理想のアングルを見つけた所で、カメラを持つ両手と一緒に橋も挟む様にして固定させます。




カメラを持った腕を水平に伸ばすと腕の力だけでは耐えきれずブレてしまいます。そこで、少し腕の位置を上げて(横から見て斜め上に腕が上がっている状態)腕と体のバランスが崩れない位置にカメラを固定し、後は液晶を見ながら手先を動かしアングルを探します。











都内にある小さな渓谷へ涼を求めて行って来ました。ここで重要な事は、緑と水の静けさを表現する為に出来るだけブレないように撮る事です。ブレた動画では涼しげな感じが表現出来ませんからね。最初の動画は、木立に覆われ、その間から夏空が見えているカットです。いかにも夏といった感じを表現したカットです。ここでは、ブレないようにカメラを安定して撮るのに選んだのが橋の手すりです。
手すりにしっかりカメラをのせ、両手で固定するようにして撮りました。
橋の上から下を見ると渓谷が見えました。涼を求めて来た人たちが散策している様子を撮るために、うっそうとした木立から川辺へとカメラを振り下ろして撮りました。カメラを振る理由は、森の木立と下に流れる川や人との位置関係が表現出来、周囲の環境がわかりやすいからです。
鏡の様な水面を見ると木立の緑が美しく写っています。その水面にはアメンボが動くたびに小さな波紋を作っていました。それを撮る為には水面と水平にカメラを真下に向けなければならないのです。レンズを望遠にして小さなアメンボの動きを追うは大変ですが、アメンボが作り出す水面の波紋は美しく、撮っていて楽しい被写体でした。
同じ水面の動画ですが、横から撮っています。川辺の緑や木立が鏡のように逆に写った状態を画面いっぱいにして狙い、ちょうどカメラを構えた瞬間、虫が水面をに止まったため大きな波紋が広がり、木立の葉が写っている水面に大きな綺麗な波模が広がりました。これはチャンス、絶対にブレてはいけない場面です。じっと息を殺し、両手でカメラを支えました。
渓谷ですから、涼しげな川の流れをどうしても撮りたいと思い、水面ぎりぎりまでカメラを下ろして撮影をしてみました。水面近くの低い小さな橋の上に座り、カメラを静かに水面へ近づけ、水流の音と一緒に撮りました。
デジカメだとどうしても音が撮れる事を忘れがちですが、動画の魅力は音にも有りますので涼しげな音も録ってください。周りの鳥や虫の音も夏のカットの演出としてステレオで収録して下さい。
川に架かる橋を撮ろうと思いました。目線の高さで撮るのも一つですが、水面が暗くなって綺麗に川の流れが見えません。そこで水面にある程度木立が写り込む位置を探し、川辺の歩道より下の位置で良い場所を見つけました。構図も橋の上を渡る人中心でなく橋と水の流れを狙っています。
渓谷の途中に小さな滝が有り、少しの水が流れていました。その流れに合わせるようにカメラを振り下ろしました。苔と緑で覆われた岩場の斜面を水が静かに落ちているカットは、画面だけでなく音も重要ですから、音と動画が安定して撮れる様にしましょう。カメラを振るとき水の流れに合わせて撮ると見やすい動画になります。
前回も最後はロングサイズなどで終えるとエンドの感じがすると言いました。この渓谷は狭いので広々とした印象の場所があまり見つからず困りましたが、エンディングとして相応しと選んだのがこのカットです。ワイドレンズ側で渓谷らしい所をフルサイズで撮りました。渓谷を散策する人と川の流れがまだまだ続く印象を与えるカットで終わる事にしました。

- テレビ番組の制作を中心に大手メーカーのプロモーションビデオなど幅広く映像制作を手がける。長年培った撮影ノウハウを独自の撮影テクニックとして確立。そのテクニックは簡単で分かりやすいと支持され、テレビ番組への出演や雑誌への連載など多数のメディアで活躍中。
- 指導・撮影 : 齋藤行成