
写真(静止画)はデジタル一眼カメラならば当然、誰でも素敵な静止画を撮って楽しんでいる事でしょう。しかし、こと動画となるといかがでしょうか?動画撮影は「TV番組のようにうまく撮影出来ないし、何かばらばらで見てて楽しくない」と言われる方が多いようですね。折角撮ったのに、もったいないです。そこで、すぐに実践できる「うまい!」と言わせるムービー一眼の撮り方のポイントをご紹介いたします。簡単ですので、マスターしてくださいね。
まずは、動画のとらえ方ですが、写真は絵画を描くイメージ。それに対し、動画は文章を書くようなモノと思ってください。
文章には主語とか動詞とか文法がありますね。私たちは知らず知らずのうちに文法を使って意思疎通をしています。動画も同じです。文法を無視して単語をバラバラに並べては、何も伝わりません。動画は文章を書くのと同じように単語を文法にそって並べることが必要です。
今回は、英語の授業に出てくる5W1Hではないですが「どこで、誰が、いつ、何をしている」を必ず頭に入れて撮影することをマスターしましょう。順番はこの通りでなくとも良いのですが、この要素を撮影しておくことが基本になります。
映画やTV番組では、場面(場所)の事を、シーンと呼びます。茶の間のシーンとか会社のシーンとかです。
皆さんがムービー一眼を持って撮るときには、各シーンごとに、必ず「どこで、誰が、いつ、何をしている」が判る動画を何カットかに分けて撮る様にして下さい。
カットとは、一回(スイッチを押して)止まるまで撮った動画のことです。カットは文章で言う単語にあたります。うまく並べると文章として完成します。文章としては成り立っているけど、冗長で読みづらいなどということがあります。初心者の方は、一つのカットを長時間撮る傾向にあります。ピアノの発表会や舞台などならば良いのですが、旅先の撮影では一つのカットを数十秒も撮れば良いでしょう。作品がTV番組と比べて退屈に見えるのは、長過ぎるカットにも原因があります。
それらをふまえて、例題を見てみましょう。

1)ベイブリッジの見える場所とゆりかもめが走っている場所
まず、場所を最初に撮って、見る人に場所が分かるようにしましょう。
最初のレインボーブリッジのカットだけでも十分に場所の説明になります。

2)モデルの新田夏鈴さんが画面に向かって歩いてくる
テレビ番組を見慣れている人は、習性として画面一杯に写る人を主役と思います。家族や友達を撮る時は画面の中心にはっきりと判る様に大きく撮りましょう。
このカットの後ろにゆりかもめの走っていますが、前のカットで大きくゆりかもめを撮っておくと、新田さんがゆりかもめでここへ来た印象をあたえます。
3-1)展望台へ楽しそうに歩いていく
広々とした展望台へ来ると誰でもが手すりの所まで行って外を見ようとします。 これからデッキに近づいて眺望を楽しむ期待感が高まりす。 その展望デッキを歩いて手すりに向かう後ろ姿を風景と人物が両方はいるくらいのワイドな画面で撮りました。
3-2)展望台からの眺望を楽しんでいる
展望台のてすりに寄りかかり展望を楽しんで、カメランに向かって話しかけている場面です。前のカットでは、表情はまだはっきり出ていません。今度はデッキから外を見るうれしそうな表情をはっきり出す意味で人物は大きめに撮るようにしました。
3-3)展望台から眺めている先のモノ(船)
画面の中の人物が何かを見ていると、視聴者はそれを見たくなります。そこで、実際にこのデッキから見える船を撮りました。作品を見てる人は、新田さんが船を見ているように感じます。
4)近くで見つけた時計
「いつ」で最も判りやすいのは時計やカレンダーを撮ることです。 今回は、時計のカットをデッキから見ている風景の一つとして撮りました。
季節によっては、木立の木漏れ日のカットや夏雲のアップなどで夏の日。また街路樹の紅葉のアップや歩道に落ちた落葉などで季節感を表現したりするとぐっとプロ作品みたいになります。
5-1)ベンチに腰掛けくつろぐ
次にベンチにいる姿を比較的広いワイド画面で撮りました。遠方が見えるように少しワイドな画面で撮る方が日差しを浴びてのどかな昼下がりを楽しんでいる感じます。
5-2)展望台から眺めている先のモノ
自由の女神像と橋の一部が見えている。今回の一連の中では、誰が、いつ、どこでを判るようにすれば後は、何をしているかのカットを繰り返すだけです。従って、5-1と5-2は無くともこのこのシーンの「展望台から海や船を見て楽しそうなシーン」は、完成しています。

- テレビ番組の制作を中心に大手メーカーのプロモーションビデオなど幅広く映像制作を手がける。長年培った撮影ノウハウを独自の撮影テクニックとして確立。そのテクニックは簡単で分かりやすいと支持され、テレビ番組への出演や雑誌への連載など多数のメディアで活躍中。
- 指導・撮影 : 齋藤行成/モデル : 新田夏鈴(所属:オーシャンズ)